彩雲 垂直尾翼

2018/5/5に筑波海軍航空隊記念館のイベントで展示されたもの。カメラはSZ-30MR(コンデジ)。カメラ性能が低いことと蛍光灯下の撮影であることから、色味は必ずしも正確ではないので注意。

当イベントは垂直尾翼の展示のほかに、彩雲の偵察員も経験した田中三也氏による講演も行われた。

当機の経歴について少々解説。尾翼の番号は21-101。この機体は彩雲の増加試作型の一機である。121空に配備されテニアン島を拠点に運用されたが、マリアナ沖海戦に伴い部隊は壊滅。 その後テニアン島に上陸した米軍に鹵獲された。この際当該機の写真が撮られており、旧世傑にも掲載されている。

その後元海兵隊員が保有し納屋に保管、亡くなった後に家族が売りに出し、それが日本人の目にも留まり里帰りを果たした…という経緯である。室内に保管されていたため極めて状態が良く、当時の状態を伝える貴重な資料である。

一時期三沢航空博物館に展示されていたこともある。

このイベントには彩雲の尾翼だけではなく、零戦の水平尾翼も展示された。この機体に関してはこのサイトに詳しく記載されている。

零戦が「飴色」ではなく完全に無彩色のグレーであることを示す資料である。

二つを並べて。零戦の水平尾翼はこちらが上面。赤いのは下地の塗装である。

逆側。









(下三枚)ラダー下部。黒い直方体の出っ張りはマスバランス。







(下三枚)尾灯周辺。







タブのロッドを通す部分に穴が開いているが、これが弾痕かどうかは不明。





よく見ると、機番用の黄色のペンキをラダー部分にこぼしている事が分かる。当時の人の息吹を感じさせる痕跡だ。





ラダー内部。内部塗装はいわゆる「青竹色」となっているが、当時は完全な青色だったはずである。





「SDCH」と書かれているのが見えるが、これは超ジュラルミンの部材であることを意味している。





(下二枚)ラダー羽布の様子に注意。各務原の飛燕のレストアの際に、この布のパターンも参考にしたんだとか。





正面から。

ここで根本の部分に注目。よく見ると左右非対称になっている。

これは捻じれたプロペラ後流に尾翼が叩かれて機体の向きが変わってしまうのを、あらかじめ垂直尾翼の軸線を傾けて配置することで相殺するためのものである。



ラダーを外したところ。







カウルフラップ。下二枚は恐らく別の機体のもの。



ラダー羽布。

許可を頂いてラダーを動かさせてもらったが、とても70年以上前のものと思えないほどスムーズに動いた。

この日は非常に貴重な体験をさせて頂いた。関係各位に改めて感謝。